映画祭「ドイツ時代のラングとムルナウ」

吸血鬼ノスフェラトゥ』の上映の回に蓮實重彦さんがいらっしゃっていたので上映後、拙稿の事実誤認の指摘について礼を述べる。【中略】と感心していると突然、蓮實さんが「ところで、あとラングで見てないのはいくつあるの?」とお聞きになる。「ええと、『ドクトル・マブゼ』と……」「ああ、見なさい」「それから『ニーベルンゲン』と……」「それも見なさい」と、全作見ろとの司令を受ける。実は取材で頂いた招待券はフリーパスではなく13回分の回数券なので、残りはあと僅かなのだ。何本かは自腹を切らねばならない。と、泣き言を垂れた私に「フリッツ・ラングのためなら借金してでも見に行くべきです」と言われ、粛然とする。蓮實さんは、某映画の檄文を書かれたばかりで「もう檄文人生はやめにしたい」ともおっしゃっていたが、普通の会話からしてすでに檄文になっているように思う。