王兵(ワン・ビン)監督『鉄西区』特別上映会 講演「『鉄西区』と『鳳鳴(フォンミン) ― 中国の記憶』をめぐって」

 上映後、次の『鳳鳴―中国の記憶』の間に、蓮實御大の講義が一時間・・・の予定だった。が、予定時間を10分過ぎてもはじまらず、弱りきった顔の主催者から、「蓮實先生がまだいらっしゃいません・・・。ご自宅にお電話さしあげたらもうお出になられたとのことですが・・・」
 結果的に、50分ほど遅刻して現われた御大。
 こうなってくると、王兵についてどんな講義をするかよりも、遅刻についてどんな言い訳をするのだろうか、ということに俄然興味がわく。しかし言い訳は実に単純なものだった。
 「誠に申し訳ありませんでした! 今日4時からというのを、手帖に5時からとうっかり書いてしまっていて、まったく何の罪の意識を感じることなくここに向かっていた次第です。」
 実は、御大到着前に主催者が観客に向けて意見を募った。
 「映画が8時に終わらなければ困る方はどれくらいおられますか?」
 案外いる。で、
 「先生とご相談してのことですが、お話を短くしていただく方向で・・・」と。
 おいおいおいおい。それで話が始まる前に、「先生、申し訳ないんですがお話を20分くらいで・・・」と主催者。「あ! いえいえもっと早く切り上げます」ということで、ほんとに10分も話さず、早々に引き上げる御大。場内拍手。