『息の跡』

細いホースのさきからちょろちょろと水が流れ、見えてはいないポンプの音がそれにかぶさるとき、これが音響の映画だと人は忽然と理解する。不穏な津波の音に代わって、即席の井戸がいっときの生を謳歌するが、最後には解体されるしかない。あたかも、それが息の跡だというかのように。傑作である。