2015-01-01から1年間の記事一覧

『ハッピーアワー』

元町映画館、シアター・イメージフォーラム ”この若い作家の視覚は、背景となった神戸の町を、まるでジャック・リヴェットの撮るパリのような非現実的な空間へと変容せしめ、女性たちを、ジョン・キャサベテスの撮る存在のような驚異の生々しさへと変容せし…

『アンジェリカの微笑み』

Bunkamuraル・シネマ 微笑みは、生者の特権か、 それとも死者の特権か。 そのあるかないかの隙間に 忍びこむオリヴェイラは、 生死を超えた異界へと見る者を 陶然と誘う。

『ディアーディアー』

テアトル新宿 この「いさぎのよい」演出は、驚嘆にあたいする 長編第一作『ディアー ディアー』をスタンダード・サイズで撮りあげた新人監督の「いさぎのよい」演出には、驚嘆すべきものがある。 人物たちが、男も女も、台詞を述べているときより、黙って画…

『黒衣の刺客』

新宿ピカデリーほか全国ロードショー 秘境で刺客に仕立て上げられた黒衣の女は音もなく敵の傍らに忍びより、いったん剣を抜けば太刀打ちできる男など一人もいない。 では、殺戮の指令に女はどこまで忠実に振る舞うのか。 待ちに待った侯孝賢の新作は、その顛…

映画の素肌 - 蓮實重彦映画批評選〈シネマ 4〉(영화의 맨살 - 하스미 시게히코 영화 비평선〈시네마 4〉)

エモーションブックス(이모션북스) http://www.djuna.kr/xe/board/12647760 http://www.hani.co.kr/arti/culture/book/706305.html http://www.cine21.com/news/view/mag_id/81324 http://blog.aladin.co.kr/culture/7951297 http://www.cine21.com/news/v…

映画時評 2012-2014

講談社

『遺言』

ユーロスペース 若い女性に拳銃を握らせるという『遺言』の発想は気に入った。 複数の人物をおさめる二、三の画面をのぞいて 室内ショットもほぼ完璧だし、戸外の光景も申し分なく撮れており、 大胆な溶暗による語りも聡明である。ただ、引き金を引くか 引か…

『THE COCKPIT』

ユーロスペース アングルの限定が、画面の時間と空間とを嘘のように豊かに押し拡げているという確かな演出によって、三宅唱は、世界の偉大な映画作家たちさながらに、ドキュメンタリーをまぎれもないフィクションとして撮りあげている。嘘だと思うなら、終わ…

『やさしい女』

新宿武蔵野館 女優はこのように撮れと、ブレッソンはいっているかのようだ。 そう思って視線を向けた画面で、ドミニク・サンダは、一瞬ごとに、 女優を遥かに超えた女へと、艶めかしく変貌してゆく。

『神々のたそがれ』

ユーロスペース ≪ 傑作の概念を遥かに超えた途方もない作品 ≫ これを見ずに映画など語ってはならない。 傑作の概念を遥かに超えたこの途方もない作品を前に、久方ぶりにそう断言しうる僥倖を、彼岸のゲルマン監督に感謝しよう。

蓮實重彦名誉教授講演会 「曖昧さ」について-『「ボヴァリー夫人」論』を例として (東大新図書館トークイベント12)

蓮實重彦名誉教授講演 「曖昧さ」について-『「ボヴァリー夫人」論』を例として 蓮實名誉教授と石田副館長の対談 質疑応答 東京大学総合図書館1F 洋雑誌閲覧室 いかなる歴史的な時代においても、人類は「長編小説」の普遍的な形式を定義したことはない。「散…

「ボヴァリー夫人」拾遺

羽鳥書店